ウッチ県

ウッチ県は、ウニェユフ(Uniejów)の温泉地や、ポーランドの中央部にあるスキー施設カミェニスク山(Góra Kamieńsk)など、観光名所に恵まれた地域です。県内のピョンテク(Piątek)という村には、ポーランドの幾何学的中心点があり、県都は多文化で現代的な都市ウッチ(Łódź)です。

ポーランドの真ん中に位置するウッチ県は、豊かな歴史、発展した文化施設、そして独特の自然を兼ね備えた、観光にとても魅力的な地域です。面積は18 000平方キロメートル以上、人口は約240万人で、伝統と現代が調和する好例として、ポーランドの観光地図において重要な位置を占めています。

県都ウッチは、19〜20世紀の工業遺産が文化・娯楽空間へと生まれ変わった特別な都市です。中心にはマヌファクトゥラ(Manufaktura)という旧工場を再開発した複合施設があり、地元の人々や国内外の観光客を引きつけています。近代美術館MS²は「ポーランド国民の歴史的記念物」にも登録されており、文化遺産と歴史教育への取り組みが観光の大きな魅力となっています。

また、この地域は他にはない自然や技術の観光資源も持っています。ウニェユフ(Uniejów)はポーランド唯一の温泉地で、年間を通じて健康やリラクゼーションの場を提供しています。一方、ベウハトゥフ(Bełchatów)の褐炭採掘場跡に造成されたカミェニスク山(Góra Kamieńsk)は、ポーランドの中央部唯一のスキー場で、冬のスポーツ愛好家にも人気です。

教育・エコツーリズムも盛んで、ベウハトゥフの「PGEギガンティ・モツィ博物館」(PGE Giganty Mocy)では、褐炭から電気をつくる過程を革新的に紹介しています。インタラクティブな展示やアニメーションは特に子どもに人気で、エネルギーや環境保護を楽しく学べる場所です。トマシュフ・マゾヴィエツキ(Tomaszów Mazowiecki)では、「青い泉」(Niebieskie Źródła)や「ナグージツキェ洞窟」(Groty Nagórzyckie)観光ルートがあり、自然の魅力を体験できます。また、ピリツァ川野外博物館(Skansen Rzeki Pilicy)はポーランド初の河川博物館として、自然や地域の歴史を紹介しています。

クトノ(Kutno)では「バラ祭り」が有名で、ログフ(Rogów)の樹木園(Arboretum)は自然愛好家を魅了します。民俗文化を体験できる施設として、ナガフキ(Nagawki)の「生きた野外博物館」(Żywy Skansen)やマジツェ(Marzyce)の「ウォヴィツキ民族公園」(Łowicki Park Etnograficzny)もあります。

歴史的な名所としては、ニエボルフ(Nieborów)やアルカディア(Arkadia)の宮殿と庭園が有名です。ここはラジヴィウ家(Radziwiłłowie)と深く関わり、ナポレオンとヘレナ・ヴァレフスカ(Helena Walewska)の子が生まれた地としても知られています。さらに、トゥム(Tum)の大聖堂やポドクラシュトジェ(Podklasztorze)のシトー派修道院など、宗教建築の宝も見どころです。

ポーランドの中央に位置するウッチ県は、交通の便が良く、国内各地への観光拠点として最適です。また、地域ならではの魅力的な観光スポットも数多く揃っています。

ウッチ (Łódź)

この地域の首都

ウッチは、産業の歴史と文化の発展が共存する特別な都市で、面積293.25平方キロメートル、人口は約66万5千人です。

中世の村から19〜20世紀にはヨーロッパ有数の繊維産業都市へと発展し、その歴史は工場や倉庫、豪商の宮殿など独特の街並みに残されています。代表的な例がマヌファクトゥラ(Manufaktura)で、現在は商業・文化・娯楽が融合した施設になっています。買い物や食事だけでなく、美術館や博物館、イベント、ボウリング、クライミングなど多彩に楽しめます。施設上空を渡るジップラインや、ホテルの屋上ガラス張りプールなども人気です。

市の中心はピョトルコフスカ通り(ulica Piotrkowska)で、ヨーロッパでも有数の長さを誇る商店街です。飲食店やギャラリー、クラブが並び、年間を通してにぎわっています。ライト・ムーブ・フェスティバル(Light Move Festival)やソング・ライター・フェスティバル(Songwriter Festival)といった国際的イベントも開催され、文化都市としての魅力を高めています。同時に、独自のアートシーンも大切にしており、OFFピオトルコフスカ(OFF Piotrkowska)という場所などで体験できます。これにより、独立系アートや現代アート好きにとって魅力的な街となっています。

ウッチは映画とアニメの町でもあり、国立高等映画テレビ演劇学校(Państwowa Wyższa Szkoła Filmowa, Telewizyjna i Teatralna、通称「ウッチ映画学校」)からはロマン・ポランスキ(Roman Polański)、アンジェイ・ワイダ(Andrzej Wajda)、クシシュトフ・キェシロフスキ(Krzysztof Kieślowski)といった巨匠が生まれました。国立映画文化センター(Narodowe Centrum Kultury Filmowej)や映画博物館(Muzeum Kinematografii)では、その歴史を紹介しています。また、イタリア人アーティストであるアベラ(Awera)による立体壁画は、街がストリートアートや現代的な表現を積極的に支援している例のひとつです。

観光客は、観光用のレトロ路面電車に乗って、昔ながらの街の雰囲気を体験したり、ルツカ山(Rudzka Góra)のソリ滑りコースで遊んだりできます。ウッチ丘公園(Park Krajobrazowych Wzniesień Łódzkich)では透明なテントでのグランピングも可能で、自然とデザインを融合した宿泊体験を楽しめます。ウッチは、産業の歴史と文化、芸術、そして娯楽が融合する、多面的で魅力あふれる都市です。

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